Paris and London tour_Day3
- tgm17wk
- 2018年12月31日
- 読了時間: 7分
大晦日。
パリ観光も3日目になります。
疲れも溜まってきているので、ゆっくり起床。
まずは、ノートルダム大聖堂近く、セーヌ川左岸にある
「SHAKESPEARE AND COMPANY」へ。

向かって右手が書店、左手がカフェ。
書店では本の販売だけでなく、1万冊の蔵書を持つ英語文学専門の図書室も併設している。
かつては、無一文の若い書き手に二階の宿を貸す
(代わりに毎日数時間、店の手伝いをすることで食い扶持を得る)ことで知られており、
そのベッドや書斎は現在も残されたまま。
内部は撮影できなかったけど、
埋もれんばかりの本の山と、丁寧に手を入れながら使い古された書斎から
ありありと当時の様子が思い浮かぶ。
遅めの朝食がてら、隣のカフェに入る。

久しぶりにヘルシーなメニュー。キュウリのサンドウィッチ。
黄色い謎のペーストが意外に美味しかったけど、味はそこそこ。。
ノートルダム大聖堂の鐘が聞こえる、立地と雰囲気は抜群なんだけど。

それからセーヌ川を渡り、ノートルダム大聖堂を抜けて、
市庁舎を通り過ぎ、パリ4区の方向へ向かいます。

目的は、ポンピドゥーセンター!!!!念願の。初訪問。
パリの歴史的街並に突如現れる、無機質な巨大構造物。その巨大さは想像以上。
エスカレーターや柱、電気や水道の配管までも建物の外に配置されている点で斬新で、
竣工当時(もう40年前…)は物議を醸したらしい。
でもそのような構造だからこそ、内部空間にゆとりが生まれ、
様々な展覧会に対応できる機能的価値がもたらされている。

なんと、事前予約したにも関わらずの長蛇の列。
寒空の下、凍えながら待機すること1時間、やっとの思いで入場。
スマホアプリでAXIS(雑誌)を読み耽っていたらあっという間だったけど、身体の芯から冷えきった。

内部もまた、全てがシンプルに秩序だったデザインで、
最小限のサインや剝き出しで塗装された配管、40年前とは思えないセンス。


7階建て+地下3階の巨大な施設の中には、
大規模な常設展示室、複数の企画展示室、図書館、映画館、多目的ホール、会議室まで入っている。
外観を象徴付ける円筒形のエレベーターで、まずは最上階に登る。

最上階から眺めるパリの街並は、絶景!
この統率された美しさには何度も感動する。

レストラン、流石に真冬のテラスは閑散としていたけれど、
眺望を撮影する人はちらほら。
レストラン内部は洗練された、インダストリーで、ミニマルなお洒落さ。



企画展では、キュビズムをテーマにした展示が行われていた。
もう一方の、別の展示室では安藤忠雄の個展をやっていたけれど、
入場1時間待ちの待機列に恐れを為して諦めた。去年国立新美術館で個展見れたし、、と
自分に言い聞かせて泣く泣く諦める。

でもこのキュビズムの展覧会を見た後の、衝撃たるや。
予想を上回る圧倒的なボリュームと、 初めて対峙する傑作の迫力、
鬼才のイマジネーションに圧倒された。
特に魅了させられた画家の一人が、Léopold Survage。

対象を多角的に、幾何学的に捉えるのがキュビズムの主な特徴だけれども、
だからこそキャンバスに込められた、一面的な視点では語れない対象の奥行きが感じられて、面白い。
挿絵のように描かれている作品からは、
近代美術とデザインとの曖昧な境界を意識せざるを得ない。

キュビズムの作品からは、一概には言い切れないけれど、
大胆な輪郭線と配色、不完全で不自然な幾何学を用いながらも
対象のリアリティを描き出そうとしている、相反するような複雑性を孕んでいる点で、
人間味というか、ドラマ性を強く感じる。


Robert Delaunayもまた、今回の展覧会を通して初めて知りながらも、
作品の前で立ち尽くしてしまう位、深く感じ入った作品が多くあった。

展示室の中には、壁面をモノクロ写真で覆いながら
実物の作品を展示(カラー部分)している部屋もあったりと、
展示シチュエーションにも富んでいて興味深い。

大好きなRaoul Dufyの作品もありました。
フランス出身だから、所蔵数も多いのかと思いきや、殆ど発見できず。。

建物内部は天高も高く、全体的にゆとりがあり、
作品とゆっくり対峙できる環境が整えられていて、有り難い。

先鋭の現代アート作品にも、贅沢に展示空間が用意されている。

外部空間と繋がるテラスから、何度でも街並を撮影してしまう。

美術館としての確かな実力を誇りながらも、
驚くのは併設する公立図書館の存在感。でかい。ギャラリーで展示もしてるし。


キオスクも充実していて賑やか。
スタンドで皆んな、飲んだり食ったりしながら、さながらカフェのように談笑している。
見通しの広い開放的な空間には何百もの席があって、年末といえどほぼ満席。
老若男女、勉強にも暇つぶしにも、気軽に立ち寄れる場所として愛されているのがよくわかる。


エントランスに戻ってきた。
相変わらず、安藤忠雄展への長蛇の列は続く・・。

スーベニアショップは、どこぞのライフスタイルストアかと思うほどの洗練度。
手頃な価格で、普段の生活に取り入れられるアートが溢れている。

本屋もまた、豊富なラインナップ。
気づいたのは、現地の人や欧州の人ほど画集や、展覧会の図録を購入する。
アジア人ほど、作品をモチーフにしたグッズ(例えば、モネの睡蓮柄のバッグ・ポーチとか)を
買っていく。お土産文化の違い、蒐集家としての文化の違い、背景には色々あるだろうけれど。


日が暮れかかってくるとまた、ファサードも違う表情を見せる。

ポンピドゥーセンターを離れて、徒歩すぐの巨大ショッピングセンター、「Forum des Helles」へ。
大道芸人の周りに集る人、人、人。
何やら飛び入りの子どもを交えて、ブレイクダンスを披露している模様。

面白いのは、観覧していた陽気なおじさんが、いきなり踊り場に乱入し始めると、
それに続くように若者たちが乱入し始めたり、もう訳が分からなくなって
大道芸人本人が呆れ笑いしていたこと。
パフォーマンスする側も見る側も境目が曖昧で、誰もが参加者になり得る、
そんなフラットで人間味に溢れた光景にとても心が和んだ。
そして動画や写真を取る観覧車が殆どいなくて(私ぐらいかも)、シェア文化の違いも体感する。
日本ならば半数以上がカメラを向けるだろうな。
目の前の光景を、シェアを目的とする対象物として捉えるのか、純粋に面白がって眺めるのか。
シェアした後の自己評価を見越す思考なのか、今現在を楽しむ思考なのか。
上手く分析できないけれど。

ショッピングセンターの側には、ネルソンマンデラ公園。
ストリートダンサーたちが、ステージの上で自由に踊る。
ステージとして用意されていることが、文化の格を上げているように思う。
そのままルーブル美術館の方へ歩く。
このピラミッドを肉眼で見るのも2回目。夜空に映えて美しい。

このピラミッドが醸し出すミステリアスな空気感には、何度見ても息をのむ。

そして地下の、「Carrousel du Louvrel(カルーセルドルーブル)というショッピングモールへ。
高級ブティックが並ぶ。ゴールドとシルバーに輝く、オーナメントが可愛らしい。

天井にはパンチングメタルが。模様が描かれていて、角度を変えて見るのも楽しい。

地上へ続くエスカレーターには、何やら神秘的な動画も流れる。
細部まで、どこを切り取っても、審美性の高い空間が続いていくなあと、しみじみ思う。

そして、夜ご飯。
まさかの、日本食!パリ3日目にして、日本食が恋しくなるのは早過ぎでしょうか。
あとは、ルーブル付近には日本料理店の並ぶストリートがあって、
そのクオリティが非常に気になったので。
いざ食べてみると、まあ、美味しい!!カツカレーってこんな美味しかったっけ。
ルーも、多分普通のボンカレーみたいな味なんだけど。何故か染みる。

そして、ホテルに戻り、疲れ果てて爆睡。
大晦日なので、カウントダウン前には何とか身体を奮い起こして、テレビの前に待機。

本当は、シャンゼリゼ通りに行きたかったのだけど。
あまりの人の混雑っぷりと、自分の披露っぷりもあり、テレビで中継を見るという。
近所のモノプリで買ったワインとチョコを味わいながら、
こんな年越しもアリでしょう!
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